もの忘れ
もの忘れ
上記にははっきりとした境界線がないことが多く、病気によるもの忘れであっても早期発見や適切な治療を行うことによって回復するものもあります。当院では、「もの忘れ」を早く発見し、総合的な診断・治療を行います。そして特に適切な治療により回復する可能性のあるいくつかの疾患(後述)を早期発見することに注力しています。もの忘れの状態によっては自覚に乏しい方が多いため、ご家族や周りの方々でご心配になる方がいらっしゃる場合は是非お気軽にご相談ください。
もの忘れとは、歳をとることで誰にでも起こることです。しかし、アミロイドβやタウ蛋白などの『ゴミが脳内に異常に蓄積される』ことによってもの忘れを生じますが、異常なゴミの蓄積により引き起こされるものが「認知症」です。
日常生活に支障をきたすことは少なく、ご自身で自覚されていることが多いです。また、一般的に症状は進行することが少ないとされています。遅延再生(覚えた事柄を一定時間後に思い出す)が障害されることが多いとされています。『昨晩の食事内容を思い出せない。』、『俳優の名前が思い出せない』などのエピソードが当てはまります。
①と③の中間です。日常生活への影響は少なく、ご自身で自覚されていることが多いですが同時にご家族からも指摘されることも多いです。年間5~15%程度が③「病気によるもの忘れ」=「認知症」に進行してしまうと言われています。
ご自身での自覚は乏しく、進行してしまうと日常生活へも支障が出てしまうことがあります。昔の出来事や身体が覚える記憶は障害されにくく、比較的最近の出来事・記憶が障害されることが多いです。「正常なもの忘れ」とは違い、体験したこと全て、体験したこと自体そのものを忘れてしまうことがあります。その他には、時間や場所の感覚が不確かになってしまいます。『食べたことそのものを覚えていない。』、『夕食の準備や買い物で失敗する。』、『よく知っている所なのになのに迷子になる』などのエピソードが当てはまります。
※あくまでも、上記は目安となります。
徐々に悪化するもの忘れが続く場合は、「認知症」の可能性があります。厚生労働省の2012年度調査では、65歳以上で「認知症」の方は約462万人、「軽度認知障害(MCI)」の方は約400万人と分かっており、65歳以上の4人に1人は「認知症」または「MCI」に当てはまる高齢者にはかなり頻度の高い病気です。おそらく2025年には日本では700万人の方が「認知症」を患うと予想されています。症状としては、進行してしまうともの忘れの症状に加えて、暴言・暴力、怒りやすい、徘徊、眠れない、食行動異常(拒食/過食)、やる気がわかないなどの周辺症状が出現することもあり、日常生活にかなりの影響が出てしまいます。
「認知症」は、
などに分類されます。
「認知症」の種類によって症状や進行の仕方や程度も違い、治療方法も違います。そのため、早期発見と早期治療介入が大切ですし、自覚がないことが多いためご家族や周囲の方々の理解と協力も必要です。当院ではまずしっかりと症状やきっかけとなった出来事などを伺い、その上で「認知症」がどのようなものかを丁寧に説明し、基幹病院とも連携を取りながら一人ひとりの状況に合わせて回復への治療を一緒に行っていきます。「認知症」の方の多くは自覚症状がないため、ご家族にもなるべく同席いただくことをお勧めしております。
上記の疾患は適切に早期発見して治療すれば、もの忘れが治ることが多いため、「認知症」と判断している方の中に紛れていないか注意が必要です。そのためにも当院ではこれら「治るもの忘れ」を見逃さないよう注意しています。