新たな片頭痛治療(CGRP標的療法)|つぐ脳神経外科・頭痛クリニック|厚木市の脳神経外科|即日MRI検査|駐車場あり

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医療コラム

新たな片頭痛治療(CGRP標的療法)|つぐ脳神経外科・頭痛クリニック|厚木市の脳神経外科|即日MRI検査|駐車場あり

新たな片頭痛治療(CGRP標的療法)

「片頭痛がなぜ起こるのか」についてはかなり研究が進んでいますがいまだにすべてが明らかにはなっていません。しかしながら何らかの刺激で髄膜動脈に分布している三叉神経末端から血管を拡張させる物質が放出され、それにより硬膜血管が拡張しその周囲に炎症が発生することで痛み信号が大脳に伝達され、片頭痛発作が生じているのではといわれています。その三叉神経終末から放出(分泌)される物質の一つにCGRPがあります。

 

現在も片頭痛治療の大きな柱となっている頭痛頓挫薬(頭痛薬)であるトリプタンという薬は、硬膜血管の細胞に働きかけ過度な血管拡張を抑制したり、硬膜血管に分布する三叉神経末端に働きかけCGRPの放出を抑制する効果があります。しかしながらトリプタンが効かない患者さんも30~60%います。またトリプタンの効果が生じるまで1時間近くかかったり、その効果も長続きしないことが問題とされています。さらに不快な副作用(胸・頸部絞扼感や眠気、倦怠感など)が生じたり、狭心症・心筋梗塞や脳梗塞の既往がある患者さんには用いることはできないなどいくつかの使用制限が存在していました。

 

つらい片頭痛発作を経験されている患者さんはみなさん「片頭痛が治れば良いのに」と訴えます。それが叶わないのなら「せめて片頭痛発作が少なくなったり(起こりにくくなったり)、その程度が軽くなれば」とも言います。これは現在行われている新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種に似た考え方かもしれません。

 

そこで2021年春に本邦では待望の新たな片頭痛治療薬が登場しました。これは片頭痛発作を起こす(発症させる)キープレーヤーであるCGRPを標的として開発されたモノクローナル抗体製剤です。この製剤は現在のところ片頭痛発作の発症抑制効果を期待して用いています。すなわち従来の片頭痛予防薬と同様の位置づけになります。2021年6月の時点で実際に使用できるのは1製剤のみですが、今後このCGRPを標的とした治療薬が続々と上市されるでしょう。この製剤はその開発時から臨床導入されるまでの数々の臨床試験では非常に期待通りの良い成績をおさめています。そして実際に私も片頭痛発作回数が多い患者さんに投与してみましたが、これまでの予防薬以上の有効性を感じています。間違いなく今後の片頭痛治療の大きな柱になるでしょう。ただし片頭痛の患者ならだれでも今すぐに用いるというような製剤ではなく、患者さん個々にしっかりした判断が必要です。よって片頭痛診療に慣れた専門医のもとで行われる治療となりますのでご理解ください。